盲目の世界が、幸せな景色で溢れますように。

大阪の繁華街の一等地にあるビル。

あの現場に足を踏み入れたのは、2014年の夏が始まる少し前。

 

57匹の保護猫達と暮らしていた女性が、突然亡くなり取り残された猫達。

いわゆる多頭崩壊とよばれる現場でした。

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ボランティアの方々がお世話を続けていましたが、人に慣れていない沢山の猫の、お世話と里親探し…

出口の見えないトンネルのような日々でした、と後におっしゃっていました。

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当時のブログ

部屋に入ると、そこには連結された大きなケージが壁沿いに2つ。

他にもいくつもケージがあり、その中で約50匹の猫達が、それぞれ寄り添っていたのです。

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初めて現れたニンゲンに不信感と恐怖でいっぱいの眼差しで睨みつけられたことを思い出します。

 

その中に、真っ黒な毛並み、大きく澄んだ瞳。

聞いたこともないうなり声で雄叫びをあげる子がいました。

でもその目は、実は何も見えていませんでした。

盲目の黒猫。

それが、ネコビル大阪の「りきいし」です。

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なぜ彼の目が見えなくなったのか、正確なことは分かりません。

保護された当初は、少しは目が見えていたのかもしれません。

そしてだんだんと、光を失っていったのかもしれません。

 

猫はもともと警戒心の強い生き物です。

視力が奪われれば、その彼らの心がどうなるか、容易に想像できます。

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出会った頃のりきいしは、室内の移動も、他の猫との触れ合いも、ここで暮らす全てのことがストレスとなっていたようで…

さらには盲目の恐怖をからなのか、絶叫していた様子が、当時のブログに残っています。

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他の猫と喧嘩するので、ひとりだけのケージに移してみたり。

移したら移したで、ひとりが不安なのか、スタッフが話しかけないと雄叫びを上げ続けたり。

高いところから降りるのが怖そうだったので、橋を作ってあげたら、使い方がわからず怒ってみたり

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そんな中、ネコリパブリックが南船場に開店し、不特定多数のお客様とともに過ごす時間が、増えていきました。

ネコリパで、穏やかに過ごす時間が、りきいしの恐怖心を少しずつですが、和らげていったのかもしれません。

ある日、りきいしが、他のネコと一緒に寄り添って眠っていたのです。

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他のネコに心を許した瞬間でした。

真っ暗闇の中、一人孤独だったりきいしが、他のネコのぬくもりを感じながら眠っているその姿に、私たちはホロリと涙を流しながら、パシャパシャ写真を撮ったことを思い出します。

 

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りきいしは、ゆっくり、ゆっくり、前に何があるかを確認するように歩きます。

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また、キャットタワーから降りる時も、ちゃんと前脚でポールを確認し、ポールをつたうように慎重に降りていきます。

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途中障害物に当たらないよう、スタッフがいる時はじっと見守ります。

りきいしの動作は、他の猫達とはやっぱり少し違うのです。

でもその違いが愛おしく、りきいしの動く姿を見ていると、後をつけたくなってしまいます。

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りきいしに近づく時は、スタッフはとても気を遣います。

突然触ったら驚いて、怒ってしまうから。

 

みんなで「りき」と声をかけては、
あたたかく見守って、
ちゃんと、ここにニンゲンいるよと存在を知らしめてから、
少しだけ指をお鼻に近づけてにおいを嗅いでもらう。

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そんなことを2年間、繰り返してきました。

 

りきいしもゆっくりと、ニンゲンがそんなに悪い存在ではないと気が付きはじめたようでした。

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ただ正直、りきいしは、ネコリパが最後まで面倒をみることになるかもしれないな…と覚悟をしていました。

 

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でも、そんなりきいしのハンデを、個性だと言ってくれる人が現れました。

頻繁に会いに来てくれるファンが出来たのです。

 

ひたすらりきいしに話しかけ、手のひらからおやつを食べてくれるように努力してくださったり、ブランケット越しになら、りきいしは触らせてくれることを発見してくれたり。

わたしたちスタッフよりずっと、りきいしが心を開いているのがわかるほどに、距離は縮まっていきました。

 

そして2016年10月。
その方から正式に、里親のお申込みをいただきました。

こうしてりきいしに、自分だけの家族ができることになりました。

 

卒業予定は12月中。

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先住猫がおられるということで、その子との相性も気になりますが、きっと乗り越えられるんじゃないかと思います。

そう思える奇跡のような光景を、先日撮影することができました。

 

あの警戒心が強くて、

不安から他の子に八つ当たりをし、

盲目の恐怖を大声で叫び、

誰も触らせてくれなかった、りきいし。

 

里親さんに気持ちよさそうに撫でられている姿です。

まだまだ触られたくないところもあるようで、わがままだなぁといった感じですが、われわれスタッフの目に映ったその光景は、愛でしかありませんでした。

 

たくさんのことを学ばせてくれた盲目の黒猫りきいし。

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ありがとう、りき。

あなたの盲目の世界が、
幸せな景色で溢れますように。

 

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りきいしのお話は、「かんさい情報ネット ten.」の番組アーカイブにも掲載されています。こちらのリンクから「2016年8月3日 盲目の猫 女性店長との日々ノゾキミ」をご覧ください。(動画14分)
紹介 盲目のりきいし。影すら見えておらず、体に触れるものすべてをこわがるため、絶対に触らず、優しく見守ってあげてください。見えていなくても、感覚や感触でどこかにぶつかったりすることも、落ちたりすることもなく快適に暮らしています。お気に入りのお昼寝スペースもあり、見えていないことで不利なのは、唯一触るものすべてを敵!と感じてしまうことぐらいです。やさしい気持ちで見守ってくださる里親さんを待っています。

性格 盲目/体に触れられることが怖い/遊ぶの大好き/食い意地はってる/

特徴 尻尾が普通の半分くらいの長さのところで、折り返されたような形をしているのが特徴。

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りきいし

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