ありがとう雪之丞、元気でね。

ネコリパブリックのお茶の水店にいくと、雪之丞がいます。

_k9a1539

お店の中の、他の猫がたくさんいる部屋のとなりの部屋に、いつも雪之丞がいます。
その部屋は飲み物を置いている部屋なので、お店に来たお客さんはかならずその部屋に入って、雪之丞に挨拶をして、飲み物を手にします。

こんにちは、雪之丞。

猫だから寝ていることが多いし、もう若くはないから、起きていてもそんなに動き回ったりしません。
ゆっくりと歩いているか、静かに座っているのが雪之丞。

ヒマラヤンの血が流れているだろう雪之丞の毛は長くて白くて、そんなに変わらない表情はいつも私たちよりももうちょっと先を見つめているようです。

 

そう。

雪之丞の周りの空気はいつも静かでどこか寂しい。

14361387_772363022867228_3108224602219668572_o

そして私たちは雪之丞のそばにいたくなる。
不思議な猫です。

 

雪之丞は人気者です。
ある人はその白くて長い毛並みが好きだといいます。
その寂しさに惹かれるという人もいます。
なんだか「保護猫」というものすべてを象徴しているようだという人もいます。
いや、そのなにもかもが魅力的なんだという人もいます。

cne1f89usaertqu

ネコリパブリックにいるほかの猫たちと同じように、雪之丞もそれまでどんな生活をしていたのかはあまりわかりません。

 

わかっているのは、

どこかの飲み屋のママさんに飼われていたらしいこと、
そのママさんは猫をたくさん残したまま死んでしまって、このままでは保健所で処分されるかもしれないと、
ママさんの知り合いがその部屋からどこかに移したらしいこと、
そして保護されたときはほかの猫と一緒にひどく汚れた環境で生き延びていたこと。

保護当時の雪之丞。ひどく汚れ、ワクチンを打つのも命取りになりそうなほど弱っていました

保護当時の雪之丞。ひどく汚れ、ワクチンを打つのも命取りになりそうなほど弱っていました。

すっかり汚れていた雪之丞は、ボランティアさんが何度も何度もシャンプーをしてあげてようやくきれいになり、そしてネコリパブリックにやってきました。

シラミ駆除のシャンプーのためまだ寒かったけどバリカン。風邪を引かないように、ちゃんちゃんこ着せました

シラミ駆除のシャンプーのためまだ寒かったけどバリカン。風邪を引かないように、ちゃんちゃんこを着せました。

もう若くもない雪之丞は体も弱っていて、保護されたときは去勢手術もできそうになかったようです。

14702372_10205830931252101_3749827026116199002_n_

それでもすこしずつ体の具合もよくなり、無事に手術をすることができました。

 

飢餓体験があったからかもしれませんが、雪之丞はどうしてもごはんを急いで食べてしまいます。
そして吐いてしまう。

だからそうならないように、食べやすいごはんを少しずつ、一日に何回もわけて食べさせています。
だから他の猫とは別の部屋。

ほかの猫たちが遊んでいる部屋の隣で、ほかの猫たちを眺めながら、雪之丞は毎日を過ごしています。

_mg_8956

そんな雪之丞がたくさんの人に好かれていることを示すエピソードがあります。
ある日、雪之丞の歯の具合がよくないことがわかりました。

調べてみたらひどい歯肉炎でした。
全部の歯を抜かなければいけない、というのが獣医さんの診断でした。
しかし抜歯するためには全身麻酔をしなければいけないのでお金がかかります。
そこでネコリパブリックでは少しでも手術台の足しにしようと、寄付を呼びかけました。

するとあっという間に、その手術代が十分に賄える寄付が集まりました。
あわてて寄付の呼びかけをやめたほどです。

数時間で沢山の支援が集まりました。

数時間で沢山の支援が集まりました。

ネコリパブリックの猫がこんなにも愛されているんだということを、雪之丞が教えてくれました。

 

雪のように白くて柔らかい。
だから雪之丞。
お茶の水の奥の部屋で静かに佇んでいる雪之丞。

_k9a7964

そんな雪之丞に、卒業が決まりました。

_k9a7966

里親になってくれそうな人が見つかりました。
もう若くない雪之丞を最期まで愛してくれだろう人が見つかりました。

 

ネコリパブリックではいつもお客さんに言っています。

ここにいる猫たちは、幸せそうに見えるかもしれない。
でも本当の幸せではないんだ、と。
猫の本当の幸せは、愛してくれる家族が見つかり、その家族と一緒に生涯を過ごすことなんだ、と。

だから、雪之丞の門出はうれしいニュースのはずです。

でもやっぱり寂しい。

雪之丞があの部屋から、お店からいなくなってしまうことを、どうしてもうまく想像できません。

だから、もう一度考えています。
いままで雪之丞が私たちに教えてくれたことを。

猫だって年を取れば、お世話の手間がかかってしまうしお金もかかるということ。
それでもやっぱり命は、ただそこにあるだけでいとおしいものだということ。

そして、かつての雪之丞のように辛い思いをして命をどうにかつないでいる猫が、いまもどこかにいるということ。

雪之丞が教えてくれたことは、次にくる猫もおなじように愛しなさいということ。

dsc00345

どうやら私たちは、その準備をしなければいけないようです。

だから大丈夫です。雪之丞がいなくなっても大丈夫です。
雪之丞のこれからを考えてみます。

新しい家族は、じっくりと考えて雪之丞を引き取る決心をしてくれました。
自分たちのところに来て、雪之丞が幸せに過ごしてくれるかを考えてくれました。

雪之丞はもう若くはありません。食事にも気をつけなければいけません。
それでもぜひ引き取りたいと言ってくれました。

きっと、あたらしい家族に囲まれても、雪之丞はいままでと同じように過ごしていくのだろうと思います。
柔らかい白い毛に包まれて、すこし困ったような顔つきで、どこか先の方を見つめながらゆっくりと歩き、立ち止まり、静かに座って。

_k9a3547

私たちのことを覚えていてくれるでしょうか。
少しでもお茶の水での時間を思い出してくれればいいなと思います。

たくさんの人に愛されたことを。

そして昔大事にしてくれた飼い主のことも。

辛い思い出は忘れてほしい。
そして家族に愛されてほしいと思います。きっと静かで幸せな日々が待っています。

14463068_1269832263067201_3185575682735503448_n_

だから大丈夫。
ありがとう雪之丞、元気でね。

紹介 アダ名は雪ちゃん。15歳超えシニア猫で全抜歯していますが、食欲旺盛!ごはんが欲しい時は青い瞳でまっすぐに見つめてきます。 猫じゃらしも大好きで全速力でかけずり回ります!!

性格 食いしん坊。ヤンチャ。おもちゃ好き。

特徴 青い瞳とモフモフの足。ヒマラヤン特有の豊かな毛でも隠し切れないポンポコお腹!

Archives

雪之丞

\雪之丞に幸せになってほしい!と思ったら/